Amazonマーケットプレイスとは。個人でも開業できるネットショップの新しい形を解説します。
Amazonマーケットプレイスとは
Amazonマーケットプレイスとは、簡単に言うとAmazonのシステムを間借りして販売することのできる、Amazon上の”売り場”のことをいいます。
Amazonで販売されている商品は、Amazonが販売している場合とAmazon以外の個々の事業者が販売している場合があります。Amazonでは、Amazonが販売している場合に、Amazonに商品を卸す企業を「ベンダー」、Amazonで自分の商品を自ら販売している人を「セラー」と呼びます。
そして、このAmazonマーケットプレイスというのは、「セラー」と呼ばれる販売者が商品を販売するための”売り場”を指すのです。
そんなAmazonマーケットプレイスでは、店舗あたりの売上平均が1200万円を超えていますので、小売業を営む方なら必ずチェックすべきチャネルだと言えるでしょう。
マーケットプレイスに出品するメリット
Amazonの集客力を最大限使える
Amazonに出品すると、Amazonという巨大なブランドの力を借りることができます。Amazonは年間5000万人以上の人が利用し、国内の取引総額も3兆円を超えると言われています。そんな看板を使って販売ができるのは非常に有益です。
自社でECを構築した場合、自社サイトにお客様をどう連れてくるのか、という集客の部分で苦戦する企業が多くあるのですが、Amazonでの出店であればその点を心配する必要がありません。
※Amazon内でどう自社商品を買ってもらうための企業努力として「SEO」という概念がありますが、これについては以下の記事で紹介しています。
【AmazonSEOの記事】
売価を自分で設定できる
これは「ベンダー」と「セラー」の大きな違いなのですが、Amazonマーケットプレイスでは価格決定権を販売主が持っています。「ベンダー」としてAmazonを利用している場合、販売主はAmazonになるので、Amazonが儲かるようにAmazonが売価を決定します。しかし、「セラー」として販売していれば自社で価格を決定できるので、自社の値下げをしたくないといったブランド的性格や、逆に利益を減らしてでも利用者を増やしたいなどといった戦略を価格に反映することが可能です。
人件費削減に繋がる
Amazonでは商品ページのデザインが不要であったり、FBAによる受発注や物流の代替サービスがあったりして、中小企業では難しい自社でのEC運用人員の確保を代替してくれます。梱包や電話対応の大きな人件費に悩んでいた方には、Amazonは最適な出店先になり得ます。
店舗構築に費用がかからない
上の内容ともやや重複しますが、Amazonは全ての商品を同じページ規格で販売しています。これは商品力が重要であるということですが、裏返せばそれ以外に工数を取られません。デザイン性の高いショップを構築することなく、資金力のある企業とも横並びで勝負できるというのもAmazonマーケットプレイスの魅力だと言えます。
出品形態
Amazonマーケットプレイスには出品形態が2つ用意されています それは、「大口出品」と「小口出品」です。両者の違いは様々な面であるのですが、ここでは簡単に説明します。
- 費用 -「大口出品」の場合は月額4900円、「小口出品」の場合は月額費用無料の代わりに、商品が売れるたび”成約金”が100円かかる。
- 決済手段-購入者に対して提供可能な決済手段が「小口商品」の場合制限されている
- 独自商品の販売-「小口商品」の場合は”相乗り出品”しかできないので、自社独自の商品を販売することはできません。
簡単に説明しましたが、実際の出店にあたってはよくよく吟味をする必要がありますので、以下の記事も参考にしてみてください。
【大口出品と小口出品の違い】
Amazonの運営コスト
経済的コスト
経済的コストとしては、上に書いた、利用するサービスが「大口出品」か「小口出品」に応じて固定費がかかります。また販売手数料として、商品カテゴリーごとに設定された割合を売上に乗じて納める必要があります。その他配送料や、FBAを利用している場合はその費用もかかってきます。
人的コスト
ECの運営には人手を必要とします。商品の受発注管理や発注、問い合わせ対応などで人員が必要になります。必要によっては新しく人を雇用することも選択肢に入れておきましょう。ただ、外部に委託できる部分も多くありますので、予算や運営規模などを踏まえて最適化を行うのも一つの手です。
運営上注意すべきポイント
商品選び
Amazonには人気カテゴリとそうではないカテゴリが存在します。ユーザーが求める商材を選び、その中で競争優位性のある商品を出品する必要があります。ツールを利用するか、Amazon分析のプロに依頼して流通数の大きなキーワードを確認しましょう。その上で、同じ検索結果に出てくる商品と比べて安い価格の商品を仕入れる必要があります。
チャネル増加に伴うコスト増
Amazonだけでなく、実店舗や楽天市場、自社ECでも販売をしている場合には、受発注や発送を行う作業が分散してしまいます。これらを防止するには、FBAなど物流代替サービスや、受発注管理ソフトによる情報一元化が有効ですが、そういったソリューション自体にもコストはかかるため、Amazonに出店する事でむしろ赤字がでる可能性があることは否定できません。
カート獲得
Amazonでは商品ごとに一つのページを作成して販売を行っています。そのため、一つの商品について複数の販売者が販売していることが多くあります。その場合、購入者が「カートに入れる」商品ページでボタンを押した時に、自社に受注が入るかが大変重要になってきます。この、商品ページのカートに直結した受注権限を得ることを「カート獲得」といいます。この「カート獲得」ができないとせっかく人気商品を販売しても、自社に受注が入らないという結果に陥ってしまいます。「カート獲得」には様々なノウハウが必要になってくるので、ご興味がある方は以下の記事も参考にしてみてください。
古参が強い文化
Amazonは何かと古くからAmazonで販売している業者に有利な仕様になっています。例えば”レビュー”が重要視されている文化などがその最たるものです。新規で出品してもレビューが集まらず、SEOができずに商品がお客様の目につかずに埋もれてしまったり、商品で他社と競合した際に「出品者レビュー」がないために「カート獲得」ができず売上が上がらないということも珍しくありません。
そのため、これから新規出品を検討している方は、Amazonで売上をあげるノウハウを十分に集めて戦略を立てて出品する必要があります。この辺りの知識はネットでは集まらない部分が多くありますので、専門家に相談して戦略を一緒に考えることも検討してみてください。