【2024年最新版】グローバルビジネス用語、インコタームズ(貿易条件)について詳しく解説!
インコタームズとは
インコタームズとは、国際貿易において商品の売買における責任分担と輸送費用の負担を規定する国際商取引条件のことです。
正式名称は「国際商取引における約款」であり、略称は「INCOTERMS」となります。
インコタームズは、1923年に初めて公表され、その後改訂版が数度にわたって発表されています。
現在、最新版は2020年版となっています。インコタームズは、国際的な貿易において異なる国々の法律や習慣に起因するリスクを最小限に抑えるためのルールです。
具体的には、買い手と売り手が合意した条件に基づき、商品の引き渡し時期、責任、負担すべき輸送費用を明確にすることで、双方の利益を守りながらスムーズな取引を行うことができます。
全ての輸送手段に適した規則
以下に、海上、陸上、航空を問わず、全ての輸送手段に適した規則をご紹介します。
EXW(ExWorks)/工場渡し
EXWは、商品が製造された場所での引き渡しを指します。この条件では、売り手は自社工場での製造、梱包、搬出、輸出手続きなどを担当し、買い手は自社での輸入手続き、輸送費用、輸入税金、保険などを負担することになります。
FCA(FreeCarrier)/運送人渡し
FCAは、売り手が商品を運送会社に引き渡す条件です。売り手は、自社倉庫、工場、または指定の場所で商品を運送会社に引き渡し、買い手は運送会社を指定し、商品を受け取ることになります。この条件では、売り手は輸出手続きや梱包、輸送費用の一部を担当しますが、買い手が輸送会社の手配や保険、輸入手続き、輸入税金を負担することになります。
CPT(CarriagePaidTo)/輸送費込み
CPTは、売り手が商品を指定の目的地まで輸送する条件です。売り手は、商品を輸送会社に引き渡し、目的地まで運送する費用を負担します。買い手は、商品が到着した目的地で商品を受け取り、輸入手続き、輸入税金、保険などを負担します。
CIP(CarriageandInsurancePaidTo)/輸送費保険料込み
CIPは、輸送費用と商品の保険料を含んだ条件です。売り手は、商品を輸送会社に引き渡し、目的地まで運送する費用と商品の保険料を負担します。買い手は、商品が到着した目的地で商品を受け取り、輸入手続き、輸入税金を負担します。
DAP(DeliveredAtPlace)/仕向地持込渡し
DAPは、商品が到着する目的地まで運送し、買い手が商品を受け取る条件です。売り手は、商品を輸送会社に引き渡し、目的地まで運送する費用を負担します。買い手は、商品が到着した目的地で商品を受け取り、輸入手続き、輸入税金、保険などを負担します。
DPU(DeliveredatPlaceUnloaded)/荷卸込持込渡し
DPUは、商品を指定の場所まで運送し、買い手が荷卸しを行い、商品を受け取る条件です。売り手は、商品を輸送会社に引き渡し、指定の場所まで運送する費用を負担します。買い手は、指定の場所で商品を受け取り、荷卸しを行い、輸入手続き、輸入税金、保険などを負担します。
DDP(DeliveredDutyPaid)/関税込持込渡し
DDPは、商品が到着する目的地まで運送し、買い手が関税や輸入税金を含むすべての費用を負担する条件です。売り手は、商品を輸送会社に引き渡し、目的地まで運送する費用と関税、輸入税金、保険などを負担します。買い手は、商品が到着した目的地で商品を受け取り、関税や輸入税金を支払い、輸入手続きを行います。
船舶輸送にのみ適した規則
船舶輸送には、以下のインコタームズがあります。
FAS(FreeAlongsideShip)/船側渡し
FASは、船が停泊する港の船側で商品を引き渡す条件です。売り手は、商品を船側に搬入し、買い手は商品を船に積み込み、輸入手続きや輸入税金、保険などを負担します。
FOB(FreeonBoard)/本船渡し
FOBは、船上に商品を積み込んでから、買い手が商品の所有権を獲得する条件です。売り手は、商品を船に積み込むまでの費用を負担し、買い手は船上で商品を受け取り、輸入手続きや輸入税金、保険などを負担します。
CFR(CostandFreight)/運賃込み
CFRは、商品の運賃と保険料を含んだ条件です。売り手は、商品を船に積み込み、運賃と保険料を負担します。買い手は、商品が到着した港で商品を受け取り、輸入手続きや輸入税金を負担します。
CIF(Cost,Insurance,andFreight)/運賃保険料込み
CIFは、商品の運賃、保険料、輸入税金を含んだ条件です。売り手は、商品を船に積み込み、運賃と保険料を負担します。買い手は、商品が到着した港で商品を受け取り、輸入手続きや輸入税金を負担します。
インコタームズ規則で規制されていないもの
インコタームズ規則は、国際貿易における買い手と売り手の責任とリスクを定義するためのルールです。しかし、以下のような要素はインコタームズで規制されていないものがあります。
支払い条件
インコタームズは貿易の物流に焦点を当てており、支払い条件については規定していません。支払い条件は別途契約書などで取り決める必要があります。
製品の品質と仕様
インコタームズは物流と責任の移譲に焦点を当てているため、製品の品質や仕様については規定していません。製品の品質に関する合意は別途契約で定める必要があります。
関税と税金
インコタームズは関税や税金についての取り扱いを規定していません。これらは国際貿易の法規や各国の税制に基づいて適用されます。
輸出入許可と規制
インコタームズは輸出入許可や規制についても規定していません。国際貿易においては、輸出入に関する法規を遵守する必要があります。
知的財産権
インコタームズは知的財産権についても取り扱っていません。製品や技術の知的財産権に関する取り決めは別途契約で行われます。
したがって、これらの要素についてはインコタームズの規定だけでは不十分であり、国際取引においては契約書や法的な取り決めなどを含めて詳細に取り決める必要があります。
インコタームズの重要性
インコタームズは、国際取引を行う企業にとっての必須ルールとして非常に重要です。以下に、その重要性を詳しく説明します。
責任とリスクの明確化
インコタームズは取引当事者間で商品の引き渡し時点での責任とリスクの移転を明確に規定します。これにより、取引が円滑に進行するだけでなく、万が一のトラブルや紛争の際にも双方が適切な対応を取ることができます。
費用の配分
インコタームズは、輸送、保険、通関手続きなどの費用負担を売り手と買い手の間で明確に分担するための指針を提供します。これにより、取引における費用面での紛争を回避し、予算管理が容易になります。
輸送手段の選択
インコタームズは商品の引き渡し地点や責任の移転時期を明確に示すことで、輸送手段の選択に影響を与えます。輸送方法によっては、リスクやコストが変わるため、適切なインコタームズの選択が重要です。
貿易の合理化
インコタームズに基づく取引では、取引条件が明確に定義されているため、輸送、保険、通関手続きなどのプロセスが円滑に進行します。これにより、取引の効率が向上し、スムーズな取引が実現します。
国際的な信頼の構築
インコタームズは国際取引における標準的なルールであるため、取引相手との信頼関係を構築するのに役立ちます。共通のルールに基づいて取引が行われることで、異なる文化や法律の壁を超えて安定的な取引が行えます。
要約すると、インコタームズは国際取引を行う企業にとって必須のルールであり、責任とリスクの明確化、費用の配分、輸送手段の選択、貿易の合理化、国際的な信頼の構築などの重要な役割を果たしています。これにより、企業は円滑かつ成功する国際取引を行うことができます。
まとめ
インコタームズは、国際貿易において商品の取引条件を規定するために用いられる規則です。EXWからDDPまで、全ての輸送手段に対応する規則があり、船舶輸送に特化した規則もあります。2010年版と2020年版では、FCA、DAT、DPUなどの条件に変更が加えられ、より買い手に有利な条件が盛り込まれるようになりました。国際貿易を行う際には、適切なインコタームズを選択することが重要です。
よくある質問
Q1: インコタームズとは何ですか?
インコタームズは、国際取引における貿易条件の規則を指します。商品の配送と責任の負担を明確にするための枠組みであり、異なる国や文化間のトランザクションを円滑に進めるために重要です。
Q2: インコタームズはどのような輸送手段に適用されますか?
インコタームズの規則は、航空輸送、陸上輸送、海上輸送、鉄道輸送など、全ての輸送手段に適用されます。それぞれの輸送手段において、商品の受渡し時期や責任の分担が定義されています。
Q3: インコタームズの規則で規制されていない取り決めはありますか?
はい、インコタームズの規則では商品の輸送に関する事項を明確に規制していますが、取引において取り決めるべき追加条件や非規制事項も存在します。特定の商品に特有の取扱いや梱包方法、納期などが該当します。