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ECの売上をアップする施策は様々なものがあります。認知率、集客効率、リピート率、購入転換率、商品単価、商品購入数、リピート頻度など、あらゆるKPI(Key Performance indicator)で施策がありえます。ただし、闇雲に何かをすれば良いというわけではなく、正しくKPIを取得して自社ビジネスにとって正しい施策を選べるかが重要です。開始前と開始後でKPIを計測し、効果があったのか振り返る部分までを含めてが施策実行と言えます。この記事では、そういったECに関わるKPI測定と施策の正しい振り返り方法を学んでいこうと思います。
ECサイトの売上を伸ばすためには、さまざまな施策があります。以下に概要を解説します。
あなたのネットショップで正しくデータは取れているでしょうか。訪問者数と購入者数しか追っていない、そんなEC運営者様が多いような気がします。しかし、もっと細かく分析しないとお客様がどこで購入せずに離脱しているのか判別する事はできません。結果として、なんとなく効果がありそうな施策を行い、なんとなく効果があったような気になるということがあります。
データ取得をする方法は多岐に渡りますが、一般的にはGoogle Analyticsを用いるのが良いでしょう。無料で1,000万トラフィックほどまでは不都合なく使えますし、かなり柔軟性の高い計測が可能です。まずはGoogleアカウントでアナリティクスを発行しましょう。自社サイトにタグを埋め込めば、最低限の計測は可能です。計測を充実させたいという場合には、自社だけでなく専門家を召集することをおすすめします。3ヶ月ほどあれば、大手企業にも負けないデータ分析体制が作れるので短期間の投資で済むはずです。
ECの売上方程式のKPIといえば、以下のようになるのではないでしょうか。これはビジネスによって構成は変わりますが、大きくは同じであることが予想されます。
これらはビジネスモデルや商品単価で数値が変わりますが、一般的にはCVR(購入転換率)= 決済完了数 / サイト訪問者数 が1%~2%になると言われています。もちろん、サイトの作りが甘いと0.1%なんていうECもあります。
自社のCVRが低い場合に、どこを伸び代として考えるかは難しい問題です。可能であれば、類似の競合ビジネスのデータを参照するのが一番良いでしょう。似たような商品にもかかわらず、明らかに決済開始数だけが低くなる場合、カート画面のデザインに問題があることが予想できます。もしも競合のデータが少ない場合は、とにかく数を打って伸びやすい指標を見つけるしかありません。こういった動きはコストがかかるため、情報を持っているグロースハッカー*を外部から召集することもあります。
また、CVRだけでなくレビュー取得数や再訪問数、商品単価といった指標も伸び代があるのかを同様にチェックします。あくまで筆者の肌感ですが、4回施策をうっても改善しない指標はそもそもそれほど悪くないという場合が多いです。4回改善しても変化が見られない時は、別の指標の改善に移るのが良いでしょう。
*「グロースハッカー」とは、企業を成長させることにコミットする、webマーケティングのプロフェッショナルのことを指します。
当たり前ですが、施策はインパクトのあるものから行います。そのため、伸び代が大きいと考えられる指標値を優先します。この時、他に目安にするべきなのが「確実性」と「変化の度合い」と「影響するターゲット数」です。
(例)商品の写真を変更する
確実性 : 10%
変化の度合い : 50%改善
ターゲット数 : 訪問者の100%
この場合、売上が上がるという確実性は低くなんとなく良さそうな施策でしかないものの、商品写真を見る人は訪問者の100%であり、非常に影響範囲は広い施策と言えます。また、商品写真が変わることで購買意欲は150%以上上がるという事例もあるため、変化の度合いも大きいことが期待できます。このように、施策による改善期待値を並べることで、どの施策を優先するのかを決めるのが正しいサイト改善の進め方と言えます。
ここからは手法について、網羅的にご紹介します。
その他の具体的な施策に興味のある方はこちらの記事もおすすめです。
ECサイトの売上をアップさせるための鉄則4選は以下の通りです。
SEO対策は、ウェブサイトの訪問者数を増やすために重要な戦略です。検索エンジン最適化(SEO)は、ウェブページが検索エンジンの結果ページで高いランキングを獲得するための手法です。キーワードリサーチを行い、人々がよく検索するキーワードを把握しましょう。また、メタタグを適切に設定し、ページの内容を正確に表現しましょう。さらに、コンテンツを最適化して、価値のある情報を提供することも重要です。
SNS(ソーシャルメディア)やインフルエンサーの力を活用することで、ウェブサイトの訪問者数を増やすことができます。ソーシャルメディアプラットフォーム上で有益なコンテンツを共有し、ユーザーとの関係を構築しましょう。また、インフルエンサーマーケティングを活用して、人気のあるインフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらいましょう。これにより、ブランドの露出を高め、サイトへのトラフィックを増やすことができます。
広告運用は、効果的な広告プラットフォームを活用して、ターゲットの訪問者を引き付ける方法です。Google広告、Facebook広告、LINE広告、Twitter広告、Youtube広告など、さまざまなプラットフォームを利用しましょう。ターゲット広告を設定して、特定のデモグラフィックや興味関心を持つユーザーに効果的にアプローチしましょう。適切な広告メッセージや魅力的なコンテンツを作成し、クリック率やコンバージョン率を向上させることが重要です。
ユーザー目線でデザインするためには、情報を検索しやすく、見やすいサイトを作ることが重要です。ユーザビリティを考慮し、シンプルで直感的なナビゲーションを提供しましょう。検索機能を設置し、ユーザーが必要な情報を素早く見つけられるようにしましょう。また、情報を整理し階層化することで、ユーザーが情報を簡単に把握できるように工夫しましょう。
ユーザー目線のデザインでは、写真や説明を活用して不安を払拭することが重要です。鮮明で魅力的な商品写真を掲載し、商品の特徴や利点を詳細に説明しましょう。また、カスタマーレビューを掲載することで、他のユーザーの意見や評価を参考にできる環境を提供しましょう。これにより、ユーザーの信頼性を高め、購買意欲を引き出すことができます。
ユーザー目線でのデザインでは、購入しやすい導線とフォーム設計が重要です。シンプルで直感的なチェックアウトプロセスを提供し、ユーザーがストレスなく購入手続きを完了できるようにしましょう。ゲスト購入のオプションを用意することで、新規ユーザーも簡単に購入できる環境を整えましょう。また、情報入力を最小限に抑えることや、ワンクリック注文の機能を導入することで、ユーザーの利便性を向上させることができます。
ユーザー目線でのデザインでは、WEB接客やカゴ落ちツールの導入が効果的です。チャットサポートを提供し、ユーザーが質問や疑問を解決できるようにしましょう。また、カゴ落ちリマインダーを活用して、未完了の購入を促進することができます。さらに、カスタマーエンゲージメントを高めるために、ユーザーの行動や嗜好に基づいたパーソナライズドな推奨を行うことも有効です。
ユーザー目線でのデザインでは、決済手段を充実させることが重要です。Amazon Payや後払いなどのさまざまな決済オプションを提供しましょう。これにより、ユーザーの購買意欲を高め、利便性を向上させることができます。ユーザープレファレンスに合わせた決済手段を用意することで、ユーザーの満足度を向上させることができます。
ユーザーの購入単価を上げるためには、お客様の欲しいという気持ちを刺激するキャンペーンを作ることが有効です。クロスセルやアップセルの戦略を活用し、関連性の高い商品や上位グレードの商品を提案しましょう。限定セールやバンドル販売を行うことで、お得感を与え、ユーザーの購買意欲を高めることができます。さらに、追加アイテムの提案や特典の付与など、お客様に付加価値を提供することも重要です。
リピート回数を増やすためには、ユーザーがまた来たくなるような動機を提供することが重要です。ロイヤリティプログラムやポイント制度を導入し、ユーザーの購買金額や回数に応じて特典を与えましょう。さらに、独占的な特典や会員限定のサービスを提供することで、ユーザーに特別感を与えることができます。また、個別メッセージやパーソナライズされたコミュニケーションを通じて、ユーザーとの関係を深めましょう。これにより、ユーザーが再訪を促される環境を作ることができます。
リピート回数を増やすためには、季節やイベントに合わせたキャンペーンを作成することが有効です。季節キャンペーンやイベントセールを開催し、特別割引や限定商品を提供しましょう。また、プロモーションコードを活用して、ユーザーに割引や特典を提供することも効果的です。ユーザーは限定的な期間や特別なイベントに惹かれ、再度購買する意欲が高まります。季節やイベントのトレンドに合わせたキャンペーンを計画し、ユーザーの関心を引くことが重要です。
KPIを設置したら、適切な振り返り体制を充実させることも重要です。以下はそのために注意しておくべきポイントについてご紹介します。
PDCAサイクルは、ECサイトの改善プロセスで重要な手法です。PDCAはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのステップから成り立っています。計画では改善の目標と手順を立て、実行では計画に基づいたアクションを実施します。評価ではデータを分析し改善の効果を評価し、改善では評価結果を基にさらなる改善策を立案します。PDCAサイクルではデータに基づく意思決定が重要です。
PDCAサイクルを短期間で回すことにより、迅速な改善が可能となり、顧客のニーズや市場の変化に素早く対応し、効果的な施策を選択し、継続的な改善を実現できます。
よくある失敗として、「なんか売上に効きそう」という施策を行う方がいらっしゃいます。これは非常によくない動きで、結局良かったのか悪かったのかハッキリしないことが大半になります。確かに、広告の画像素材を変えることで、広告のクリック数だけでなく、その後の購入数も変化する事は予想されますが、ある程度割り切ってどこの改善を狙った施策なのかを明言した方が良いです。
そのKPIに効果があるのか決めたら、次は施策が目標とする改善結果目標も決めます。これがないと、ちょっとよくなったのか、単なるブレなのかすら判別できません。言い切ったならやり切る覚悟で、「直帰率を90%から80%まで下げる」くらいのハッキリとした目標を持ちましょう。なんとなく良くなる程度の施策なら、エンジニアを動かして仕様変更するコストが無駄です。
施策がダメだった時、単にガッカリするのは無駄なのでやめましょう。大事なのはその施策が外れたということから何を学ぶかです。例えば「ユーザーは商品写真を一番大事に思っている」という仮説があって、商品写真を非常に大きくするテストを実施したとします。この時、大して売上が増えなかったときのリアクションとして正しいのは、「なるほど、ユーザーは商品写真が大きくても小さくても気にしないのか」です。その要素が重要ではなかったという学びを大切にしましょう。
常に思いつきで施策をうつと、往々にして迷路に迷ってしまいます。1ヶ月以上のスパンで何に注力するのかを明確にし、KPIを一つずつ改善していきましょう。上記の例を引き続き考えると、「商品写真を大きくする」という実験の後には、①〜③のシナリオが存在します。
① CVRが上がる
② CVR変化なし
④ CVRが下がる
この時、①なら「もっと写真を大きくする」ことができますし、②なら「逆に写真を小さくする」、③なら「写真を無くしてみる」といった施策が挙げられます。事前に施策をねって、スピーディに動いていくのが良いでしょう。
ただし、こういった体制構築はなかなか難しいのも事実なので、難しいと感じる方はグロースハッカーを外部から召集することをお勧めします。
ECサイト運営におけるよくある4つの課題は以下の通りです
それぞれ詳しく解説していきます。
社内ECサイトを立ち上げて間もない段階では、まだ認知度が低いため、新規訪問者をすぐに集めることは難しいです。しかし、この課題を解決するためには、SNSなどのさまざまなチャネルを活用して認知を広げる必要があります。SNSをはじめとするオンラインプラットフォームを活用することで、企業や商品の魅力を発信し、ターゲット層にアプローチすることができます。これにより、新規訪問者を引きつけ、サイトへのトラフィックを増やすことができます。
コンバージョン率が上がらない要因は、サイト自体に問題がある場合が考えられます。たとえば、ページの読み込みが遅い、レイアウトが見づらい、検索機能が効かないなどの問題がユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題を解決するためには、サイトの改善や最適化が必要です。また、信頼できるサイトと感じてもらえるようなプラットフォームを構築することが重要です。セキュリティ対策やプライバシーポリシーの明示、信頼性のある決済方法の提供など、顧客が安心して取引できる環境を整える必要があります。信頼されるサイトと感じられると、顧客は購買意欲を高め、サイトに再訪したり口コミで広めたりする可能性が高くなります。そのため、信頼性を高めるための施策を積極的に取り入れ、プラットフォーム全体の信頼感を向上させることを目指しましょう。
客単価(Life Time Value:顧客生涯価値)は、顧客が企業との関係を継続していく間にもたらす総売上の見込み値を指します。つまり、顧客が長期間にわたって商品やサービスを購入することによって企業にもたらす価値を示す指標です。新規顧客限定の割引やクーポンなどの初回購入特典を付与する施策は、顧客獲得のためによく行われます。これは、初回の購入を促し、新規顧客の獲得を目指すためです。特典や割引を通じて、新規顧客の購買意欲を高めることができます。しかし、個々の顧客に対して適切な商品や組み合わせを提案できていない場合もあります。これは、顧客の購買履歴や嗜好を考慮せずに一般的な提案を行っている可能性があります。顧客に合わせたパーソナライズされた提案を行うことで、顧客満足度を向上させ、再購買や顧客の忠誠心を促進することができます。したがって、顧客生涯価値を最大化するためには、新規顧客獲得だけでなく、顧客との長期的な関係を築くことや個別の顧客ニーズに合わせた提案を行うことが重要です。
既存顧客に対しての「商品購入前後のフォロー」や「顧客接点の少なさ」には、以下のような要素があります。まず、商品購入前後のフォローは、顧客が商品を購入する前後のサポートや情報提供を行うことです。これにより、顧客の不安や疑問を解消し、満足度を高めることができます。例えば、購入前の商品説明や使い方の案内、購入後のアフターサービスやレビュー依頼などが含まれます。また、顧客接点の少なさとは、顧客とのコミュニケーションや情報提供の機会が限られていることを指します。顧客接点が少ないと、顧客の関心やニーズを把握することが難しくなり、競合他社に取られる可能性も高まります。したがって、商品購入後には、顧客が関心を持ちそうな情報を継続的に提供したり、店舗来店やイベントへの参加を案内することが重要です。ニュースレターやメールマーケティング、ソーシャルメディアの活用などを通じて、顧客とのコミュニケーションを維持し、関係を深めることができます。これにより、顧客のロイヤルティを高め、リピーターとしての継続的な購買を促進することができます。
多くの企業が効果的なマーケティング手法を模索していますが、今回のケースでは週末限定の商品セットと広告配信の組み合わせが大成功を収めました。この戦略は、週末に消費者の関心が高まり、購買意欲が増すというマーケットのトレンドに着目したものです。商品セットは、特別な割引価格や限定アイテムの組み合わせなど、週末のお客様に魅力的な提案をするものでした。広告配信では、デジタル広告プラットフォームを活用し、週末の消費者に対して商品セットの特典や魅力を的確に伝える広告が展開されました。その結果、週末の売上はなんと3倍に伸び、週末限定の商品セットと広告配信の組み合わせは、マーケティング戦略において重要な要素となり得ることが示されました。
株式会社これからは、ユーザーテストやEC分析に強いコンサルティング会社として知られています。これからでは、UXリサーチやユーザビリティテスト、顧客行動分析などのサービスを提供されており、クライアントのECサイトやデジタルプロジェクトの成功をサポートしています。同社は、経験豊富なユーザビリティエキスパートやデータアナリストなど、幅広いスキルを持つ専門家のチームを有しています。ユーザビリティテストでは、ユーザーがサイトやアプリケーションをどのように使用するかを明確に把握し、改善のための具体的なアクションプランを提供されています。また、EC分析においても、データの収集・分析から洞察の抽出、売上向上や顧客エンゲージメントの最適化に向けた戦略立案まで幅広い支援をされています。
FORCE-R株式会社は、ユーザーテストやEC分析に強いとされています。FORCE-R株式会社は、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインやデジタルマーケティングに特化したコンサルティング会社です。同社は、ユーザーテストやユーザビリティテストを通じて、ユーザーのニーズや行動パターンを理解し、サイトやアプリケーションの改善点を特定されています。また、データ分析やウェブ解析を駆使して、ECサイトのトラフィックや顧客行動の可視化、コンバージョン率の向上などの課題解決に取り組まれています。FORCE-R株式会社は、専門的な知識と経験を持つコンサルタントのチームを有しており、幅広い業界やプロジェクトに対応されています。クライアントの要件に合わせてカスタマイズされたソリューションを提供し、ビジネスの成果を最大化するための戦略立案や施策実施を支援されています。
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