Cookie廃止規制の背景・影響とその対策
Cookie(クッキー)に関する基本
クッキーとは、ウェブサイトにアクセスした際に、ユーザーのデバイスに保存される小さなテキストファイルです。これにより、ウェブサイトはそのユーザーが何度も訪れたかどうかや、どのようなページを閲覧したかなどの情報を記録することができます。
トラッキングとは
トラッキングとは、ウェブサイトがユーザーの行動や情報を収集することを指します。これにより、広告配信やマーケティングなどの目的でユーザーに関連する情報を収集することができ、高い精度でユーザーの行動を追跡できるという特徴を持ちます。
ファーストパーティーCookieとは
ファーストパーティーCookieとは、ウェブサイトが直接設定するCookieのことを指します。つまり、ユーザーが特定のウェブサイトにアクセスした際に、そのウェブサイトからのみCookieが設定されるということです。
サードパーティーCookieとは
サードパーティーCookieとは、ウェブサイト以外の第三者が設定するCookieのことを指します。つまり、ユーザーがあるウェブサイトにアクセスした際に、そのウェブサイト以外の広告配信会社や解析ツールなどの企業がCookieを設定することがあります。
Cookie規制の背景
Cookieに対する規制が進む背景には、ユーザーのプライバシー保護が求められるようになったことがあります。特に、個人情報を取り扱う企業がCookieを用いてユーザーの情報を取得し、その情報を広告配信などの目的で利用することが問題視されるようになりました。
世界で高まるプライバシー保護の動き
世界的にプライバシー保護の重要性が高まり、Cookieに関する規制も進んでいます。例えば、欧州連合(EU)では一般データ保護規則(GDPR)が施行され、Cookieを含む個人情報の取扱いに関する厳しいルールが定められました。また、米国でもカリフォルニア州においてプライバシー保護法(CCPA)が施行され、Cookieを含む個人情報の取扱いについてのルールが定められました。
Cookieを巡り制裁を受けた事例:Google・Metaに約270億円の制裁金
GoogleやMeta(旧Facebook)などの大手IT企業は、Cookieを含む個人情報の取扱いに関する問題で制裁を受けた事例があります。例えば、2021年にはフランスの個人情報保護当局からGoogleに対して約220億円、Metaに対して約50億円の制裁金が科せられました。
Cookie規制の具体例
Cookieに対する規制は、プラットフォーマーによる自主的な取り組みや法律による規制などがあります。
プラットフォーマ―による規制
多くのプラットフォームでは、Cookieに関する規制が行われています。例えば、Google ChromeやMozilla FirefoxなどのWebブラウザーでは、Cookieの利用に関する設定ができるようになっており、ユーザーがCookieの許可や拒否を選択できるようになっています。またApple社は、2018年からファーストパーティCookieの利用も制限しています。現在、Apple社のOS(iOS)では、ファーストパーティCookieの保存期間は24時間にまで制限されています。
法律による規制
法律によるCookieの規制も進んでいます。例えば、欧州連合では一般データ保護規則(GDPR)が施行され、Cookieを含む個人情報の取扱いに関するルールが定められました。また、米国ではカリフォルニア州においてプライバシー保護法(CCPA)が施行され、Cookieを含む個人情報の取扱いについてのルールが定められています。日本でも、上述の通り2022年に改正個人情報保護法が施行され、Cookieを含む個人情報の取扱いについてのルールが強化されました。これらの法律により、企業はユーザーの同意を得たうえでCookieを利用する必要がでてきました。
Cookie規制によるデジタルマーケティングへの影響
Cookie規制により、デジタルマーケティングには大きな影響が出ています。
リターゲティング広告が制限される
リターゲティング広告は、ユーザーが過去に訪れたWebサイトのCookieを利用して、そのユーザーに関連性の高い広告を配信するものです。しかし、Cookie規制により、ユーザーの同意を得ない限り、そのユーザーのCookieを利用することができなくなります。そのため、リターゲティング広告のターゲティング精度が低下する可能性があります。
ビュースルーコンバージョンの計測が制限される
ビュースルーコンバージョンとは、広告をクリックしてWebサイトにアクセスした後、そのWebサイト上で特定の行動(商品の購入など)をしたユーザーを計測するものです。しかしCookie規制により、ユーザーの同意を得ない限りそのユーザーのCookieを利用することができなくなるため、ビュースルーコンバージョンの計測が制限され、正確な成果測定が難しくなる可能性があります。
デジタルマーケティングにおけるCookie規制への対策
Cookie規制によりデジタルマーケティングが制限される中、以下のような対策が必要とされます。
自社(ファーストパーティ)Cookieを活用した広告手法の導入
自社のWebサイト上で、ユーザーの同意を得たCookieを利用して、そのユーザーに関連性の高い広告を配信することができます。そのため、自社(ファーストパーティ)Cookieを活用した広告手法の導入が有効です。
Googleタグマネージャ(GTM)をサーバーサイドに設置
GTMをサーバーサイドに設置することで、Cookieを利用せずにデータを収集できるようになります。そのため、GTMをサーバーサイドに設置することで、Cookie規制による影響を最小限に抑えることができます。
GA4導入
GA4は、Cookieに依存しないユーザー行動データの収集・分析が可能なGoogleのアナリティクスツールです。そのため、GA4の導入によって、Cookie規制による影響を最小限に抑えることができます。
プライバシーポリシーを作成してユーザーに周知する
Cookieの利用目的や取り扱い方法を明確にしたプライバシーポリシーを作成し、Webサイト上で公開することで、ユーザーに周知する必要があります。
Cookie利用への同意取得
Cookieの利用について、ユーザーから明示的な同意を得る必要があります。そのため、Cookie利用への同意取得をWebサイト上で実施することが必要です。
Cookieの規制に伴い今後注意すべきこと
ファーストパーティーCookieも規制される可能性
現在は、主にサードパーティーCookieが規制の対象となっていますが、今後はファーストパーティーCookieも規制の対象になる可能性があります。実は、Appleでは標準ブラウザ・Safariに搭載したトラッキング防止機能ITPはファーストパーティCookieについても規制を行うことを発表しています。この動きに伴って、Googleもファーストパーティ cookieを規制する決定をする可能性があるといっても過言ではありません。そのため、自社のWebサイト上でのCookieの取り扱いについても注意が必要です。
個人情報保護法に準拠してCookieを取り扱う
個人情報保護法に基づいて、適切なプライバシーポリシーを作成し、Cookieの取り扱いについても適切に行う必要があります。また、ユーザーからの同意を得ることが必要です。
海外のCookie規制の動向に注視する
日本だけでなく、海外でもCookie規制が進んでいます。そのため、海外のCookie規制の動向に注視し、自社のWebサイトやマーケティング戦略の見直しを行う必要があります。
まとめ
Cookie規制の進展により、デジタルマーケティングに大きな影響が生じています。リターゲティング広告の制限や、ビュースルーコンバージョンの計測が制限されることにより、マーケティング手法に変化が生じはじめています。しかし、自社Cookieの活用やGoogleタグマネージャ(GTM)のサーバーサイド設置、GA4導入、プライバシーポリシーの作成、Cookie利用への同意取得など、必要に応じた対策を行うことで、Cookie規制に対応することができます。今後は、ファーストパーティーCookieの規制や海外のCookie規制の動向にも注視しながら、自社のマーケティング活動を実施していきましょう。
よくある質問
Q: Cookieとは何ですか?
A: Cookieは、ウェブサイトを利用する際にユーザーの情報を保存する小さなテキストファイルです。ユーザーの設定や行動履歴などを記録することで、ウェブサイトの利便性を向上させることができます。
Q: Cookie規制に対してどのような対策が必要ですか?
A: 自社Cookieの活用やGoogleタグマネージャ(GTM)のサーバーサイド設置、GA4導入、プライバシーポリシーの作成、Cookie利用への同意取得などが必要です。また、法律や規制の変化に対応するため、情報収集や海外の動向にも注意が必要です。
Q: Cookieを無効化するとどのような影響がありますか?
A: Cookieを無効化すると、ウェブサイトの利便性が低下することがあります。たとえば、ログイン情報や設定が保存されなくなる、商品をカートに入れたまま閉じるとカートがリセットされるなどが挙げられます。