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商品の魅力を直感的に伝えられるInstagramは、ECと連携することでユーザーの購入導線を効率化し、ブランドの認知度も高められる魅力的な集客ツールとなり得ます。
しかし、具体的な連携方法や効率的な運用方法がわからず、課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、InstagramとECサイトを連携させる方法と手順、メリットと注意点、運用のポイントまでを、成功事例を交えてわかりやすく解説します。
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InstagramとECサイトの連携が注目される理由は、ユーザーの増加と購買行動の変化にあります。
2023年の総務省の調査によると、Instagramの利用率は性別・年代を問わず近年増加しており、特に女性の利用率は85.9%に及んでいることもわかりました。
2025年初頭には国内のInstagramユーザーが5,750万人に達すると見込まれており、Instagramが非常に大きなマーケットであることがうかがえます。
出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要> 」
また、近年はユーザーの購買行動にも変化が見られ、SNSでたまたま興味を持った商品をそのまま購入する(発見型コマース)ケースが増えていることも、Instagramが集客に有効とされる理由の一つです。
SNSを検索ツールとして使用するユーザーが増えています。
特に、美しいビジュアルで商品の魅力を直感的に伝えられるInstagramは、発見型コマースでよく利用される傾向にあり、ECとの相性が良いと考えられています。
InstagramとECサイトを連携させる方法には、Instagramの「ショッピング機能」を利用する方法と、自社のECサイトにInstagramの投稿を「埋め込む」方法の2つがあります。
Instagramのショッピング機能でECサイトと連携する方法です。
ショッピング機能とは、ユーザーがInstagramの投稿からECサイトの商品ページへ簡単に移動できる機能を指します。
投稿の写真や動画に「商品タグ」を付け、タップしたユーザーがECサイトの商品ページへ直接誘導される仕組みです。
従来のように投稿を見た後ブラウザを開き、ECサイトを検索する手間がないため、ユーザーは購買意欲が冷めないまま購入プロセスへと進めます。
二つ目はECサイトにInstagram投稿を埋め込み、サイト上に表示させる手法です。
専用のツールやECカートシステムの機能を利用し、特定のアカウントのフィードや、指定したハッシュタグの付いた投稿を自社サイト上に表示させます。
その他、商品ユーザーの投稿(UGC)をリアルな口コミとして埋め込んで、商品やブランドの信頼性を高める手法も多く活用されています。
■Instagramアカウント運用の始め方を知りたい方は、こちらもご覧ください。
ここでは、InstagramとECサイトを連携する具体的なメリットを解説します。
Instagramと連携する最大のメリットの一つは、ECサイトへの導線を短縮できる点です。
ユーザーが投稿で興味のある商品を見つけた場合、従来は一度アプリを離れてブラウザでECサイトを探す手間があったため、離脱の原因となっていたのです。
しかしInstagramのショッピング機能を使えば、ユーザーは以下の4ステップだけで商品の購入が完了します。
ユーザーの購買意欲が高いうちに購入が完了するため、購入率(CVR)の向上が期待できます。
Instagramのビジネスアカウントやショッピング機能の設定には、料金が発生しません。
InstagramアカウントとFacebookページ、自社ECサイトの3つがあれば簡単に連携できます。
すでにECサイトとSNSアカウントを運用している事業者は、追加投資なく新たな販売チャネルを確立できるでしょう。
少額からのテスト運用も可能なため、予算が限られる個人事業主や小規模事業者でも、費用対効果の高い集客が期待できます。
幅広いユーザー層にアプローチできることも、Instagram連携の大きなメリットです。
5,000万人を超える膨大なユーザー数を持つInstagramなら、幅広い年代や性別のユーザーに商品情報を届けることができます。
また、通常のInstagram投稿は主にフォロワーに表示されますが、広告機能を利用すればフォロワー以外のユーザーにも投稿を表示できます。
さらにハッシュタグ付きで発信すれば、従来の広告ではリーチできなかった顧客層にもアプローチできます。
Instagramでは関心層にターゲットを絞った集客も可能です。
Instagramの「発見タブ」では、ユーザーの興味関心やフォローしているアカウント、普段の行動履歴などをもとに、表示コンテンツがカスタマイズされます。
そのため、自社の商品やブランドに関連性の高い投稿が、該当のジャンルに関心を持つユーザーの目に触れやすくなるのです。
さらに、広告配信のターゲットも年齢、性別、地域、興味関心別に細かく設定できるため、より精度の高いアプローチが可能です。
Instagram上のプロモーションは、通常の広告よりユーザーに抵抗なく受け入れられやすいこともメリットです。
通常の広告はユーザーから敬遠され、スキップされがちです。
しかし、ショッピング機能を使った投稿は他のInstagram投稿と同様にフィードに表示されるため、広告らしさが薄れ、より自然な感覚で閲覧される傾向にあります。
さらに、商品情報がエンゲージメントの高いユーザーにリポストされれば、より商品の魅力がユーザーに届きやすくなるでしょう。
クチコミ効果でCVR(購入率)の向上が見込める点もInstagram連携のメリットです。
実際に商品を購入したユーザーのInstagram投稿(UGC:User Generated Content)をECサイトに埋め込むことで、訪問者にリアルな使用感や評価を伝えられ、ブランドへの信頼感を高めることにもつながります。
また、ユーザーのレビューは購入を迷っている人の後押しとなり、コンバージョンにつながることも多くあります。
ECサイトとInstagramの連携・運用を成功させるためには、メリットだけでなく、この後で解説する運用上の課題や注意点も把握しておくことが必要です。
Instagramとの連携は低コストで始められますが、継続的な運用には相応のリソースとコストがかかります。
ブランドの世界観を伝え、フォロワーとの良好な関係を築くためには、魅力的で一貫性のある定期的な投稿が不可欠となり、そのための業務が継続的に発生します。
業務を自社で行う場合は人件費が、外部の専門家や代理店に委託する場合には外注コストが必要となります。
連携を始める前に、誰が、どのくらいの時間をかけて運用するのか、具体的な計画を立て、必要なリソースと予算を確保しておくことが大切です。
Instagramのショッピング機能を利用するには、Meta社が定めるポリシーやガイドライン、以下の利用規約を遵守しなければなりません。
引用元:Instagram Help Center「コマース機能の利用要件」
規約に違反すると、ショッピング機能の審査に通らなかったり、承認後に機能が停止されたりする可能性があります。
規約は更新されることもあるため、運用中も確認が必要です。
先述したMeta社のコマースポリシーなどの規約では、Instagramのショッピング機能で販売できない商品についても定められています。
自社で扱う商品が対象となっていないか、事前に確認が必要です。
【販売が禁止されている商品の例】
ショッピング機能は、Instagramのスマートフォンアプリでの利用が前提となっており、基本的にパソコンのブラウザには対応していません。
PCブラウザからは一部の機能が制限されたり、シームレスな購買体験が得られなかったりする可能性もあります。
ターゲット層がPCで閲覧している場合は、期待した集客効果が得られない可能性があります。
InstagramとECサイトを連携させるには、ショッピング機能に対応したECカートシステムを選ぶ必要があります。
ここでは、代表的な連携可能ECカートと、効率的な連携を可能にするアプリケーションを紹介します。
Instagramのショッピング機能とスムーズに連携できる主なECカートは以下の通りです。
上記の主要ECカートでは、Instagramと容易に連携できる仕組みを用意しているため、専門知識がなくてもスムーズに設定できます。
ECカートの標準機能に加え、以下の専用アプリケーションを利用すれば、Instagramとのより効率的な連携が可能です。
■Instagram分析の方法やポイントについては、こちらもご覧ください。
ここでは、InstagramとECサイトを連携する具体的な手順を解説します。
はじめに、ショッピング機能の利用要件や規約を確認しましょう。
自社ECサイトの有無や運営体制についても審査を受けるので、基本要件を満たしているか、事前に公式情報をご参照ください。
次に、Facebookページを作成します。
Instagramショッピング機能はFacebookのコマース機能と連携しているため、Facebookビジネスページの所有が必須条件です。
Facebookページは、後述する商品カタログを管理する基盤にもなります。
ページ名はECサイトのブランド名と合わせましょう。
■Facebookページの作成方法の詳細については、こちらもご覧ください。
続いて、Instagramをビジネスアカウントへ切り替えます。
ショッピング機能やインサイト分析などは、ビジネスアカウントでしか利用できないためです。
まずInstagramアプリの「設定」から「アカウント」へ進み、「プロアカウントに切り替える」を選択します。
そしてビジネスのカテゴリを選択し、連絡先情報(メールアドレス、電話番号、住所のいずれか)を公開プロフィールに設定すると完了します。
Instagramアプリから、InstagramのプロフィールとFacebookページをリンクさせます。
ビジネスアカウントのプロフィール編集画面に進み、「ページ」の項目で、作成(または確認)した自社のFacebookページを選択して連携しましょう。
正しくリンクされると、Facebookページで作成した商品カタログをInstagramでも利用できるようになります。
次にFacebookの「コマースマネージャ」ツールで商品カタログを作成します。
商品名、説明文、価格、在庫状況、商品画像、ECサイトの商品ページURLなどを登録しましょう。
商品の登録方法には、手動で一つずつ追加する方法と、データフィードを利用してECサイトから一括で情報を同期する方法の2つがあり、どちらの方法でも問題ありません。
商品登録が完了したら、Instagramショッピング機能の審査を申請しましょう。
Instagramアプリの設定メニューから「ビジネス(クリエイター)」を選択し、「ショッピングを設定」の項目に進みます。
画面の指示に従い、連携する商品カタログを選択したら、申請を送信し、後は審査結果を待つだけです(審査は数日から1週間程度かかります)。
審査で承認されると、アカウントでショッピング機能が有効となり、商品の販売を開始できます。
新規投稿を作成する際「商品をタグ付け」と表示されたら、作成したカタログから関連する商品を選択します。
一つの投稿に複数の商品タグを付けたり、過去の投稿に後からタグ付けしたりすることも可能です。
InstagramとECサイトの連携を成功させるには、戦略的なアカウント運用が不可欠です。
ここでは、連携効果を最大化するための6つの重要なポイントを解説します。
Instagram投稿の方向性を決め、ECサイトの世界観と統一することが連携成功の近道です。
せっかくInstagramからECサイトに誘導できても、ECサイトとInstagram投稿の世界観が異なると、ユーザーが違うサイトに来たと感じ、離脱してしまうおそれがあります。
一方で、投稿写真の色味や構図、フィルター、被写体などに一貫性をもたせることで、ブランドイメージが顧客に定着します。
アカウントの信頼性を高めるために、プロフィールを充実させることが重要です。
アカウントのプロフィールページはブランドの「顔」であるため、プロフィール文章やハイライト欄、ロゴ、プロフィール名をしっかり作り込みましょう。
また、アカウント名はブランドが一目でわかるように設定しましょう。
紹介文には、ブランドの特徴、扱っている商品のジャンル、ブランドのコンセプトなどを簡潔に記載することもポイントです。
ユーザーに自社の商品を見つけてもらうためには、適切なハッシュタグとキーワードの設定が欠かせません。
ユーザーはハッシュタグを使って興味のあるトピックを見つけているためです。
ハッシュタグやキーワードは、「#北欧インテリア」のような多くの人が検索するビッグキーワード、「#リネンカーテン」のようなミドルキーワード、そして「#〇〇(ブランド名)のある暮らし」といったオリジナルキーワードの3種類を、バランス良く組み合わせることがポイントです。
適切なハッシュタグとキーワードを設定することで、幅広いユーザー層にリーチしながら、ブランドのコミュニティ形成にも役立てられます。
新規顧客の獲得や売上向上のためには、定期的な投稿とストーリーの更新が不可欠です。
Instagramのアルゴリズムでも、定期的に更新されるアカウントのほうが評価される傾向にあります。
投稿は2日に1回程度、ストーリーは1日3回程度の更新が理想ですが、無理のないペースを設定し、継続的に運用することが重要です。
例えば、フィード投稿ではブランドの世界観を見せ、24時間のストーリーズでは新商品の入荷情報やセールのお知らせを発信する、という具合に使い分けるとより効果的です。
インフルエンサーの起用はブランドの認知度拡大に効果的です。
インフルエンサーの投稿は第三者による客観的なおすすめとして受け取られるため、企業が発信する広告よりも信頼されやすく、訴求力が高いのが特徴です。
また、インフルエンサーのフォロワーは特定の興味・関心を持つユーザーで構成されています。
そのため、ブランドのターゲット層とインフルエンサーのフォロワー層が一致している場合は、より高い広告効果(ROAS)が期待できます。
マイクロインフルエンサー(フォロワー数が比較的少なく、特定の層に強い影響力を持つ人)の起用も、費用を抑えながらニッチなファンにリーチする手段としては有効です。
■インフルエンサーマーケティングについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
訪問者とのコミュニケーションを重視することは、ファンを育成し長期的な関係を構築するうえで欠かせません。
投稿に寄せられたコメントには、可能な限り丁寧な返信を心がけましょう。
質問に回答したり、感謝の気持ちを伝えたりすることで、ユーザーは「大切にされている」と感じ、ブランドへの親近感やロイヤルティが高まります。
また、自社の商品を投稿しているユーザー(UGC)を見つけた場合は、「いいね」やコメントを行い、本人の承諾を得たうえで自社アカウントでリポストすることも有効です。
顧客との双方向コミュニケーションを重ねることで、ブランドとファンとの間に絆が生まれ、安定したECサイトの売上へとつながります。
InstagramとECサイトの連携中に、予期せぬトラブルが生じることもあります。
ここでは、ECサイト運営者が直面しやすい問題とその対処法を解説します。
ショッピング機能が有効にならない場合は、基本的な設定が誤っている可能性があります。
上記を確認しても解決しない場合は、もう一度設定を見直してから再度審査を申請するか、Meta社のヘルプセンターに問い合わせてください。
商品カタログがインスタグラムに反映されない場合、以下の原因が考えられます。
また、カタログを更新してからInstagramに反映されるまでに時間がかかる場合もあるため、少し時間をおいてから再度確認してみましょう。
ショッピング機能の審査に落ちた場合、まずは原因を特定することが重要です。
審査に落ちた原因を改善したら、コマースマネージャから再度審査を申請しましょう。
また、作成直後のアカウントや、フォロワー数や投稿数が極端に少ないアカウントは信頼性が低いと判断され、審査に通りにくい場合があります。
一定期間の運用後、コンテンツを充実させて再申請してみましょう。
一度承認されたショッピング機能が停止した場合、ポリシー違反が考えられます。
まず、コマースマネージャや登録メールアドレスに、Meta社から通知や停止の理由が届いていないか確認しましょう。
違反を指摘された部分を改善し(該当する商品の登録削除、ECサイトの広告表現の修正など)、コマースマネージャから再審査をリクエストしてください。
また、Meta社の規約が変更された結果、違反となるケースもあるため、規約の変更内容も定期的に確認しましょう。
InstagramとECサイトの連携は、顧客との新たな接点を作り、販売チャネルを拡大する有効な手段の一つです。
ビジュアルによる直感的な訴求から、ユーザーのシームレスな購入体験まで、Instagram連携のメリットは多岐にわたります。
連携と導入には複雑な手順と厳格なルールをクリアする必要がありますが、ECカートの機能やアプリケーションを活用すれば、初めての方でもスムーズな導入が可能です。
Instagramで自社ブランドの世界観を構築しながらファン層を拡大し、売上の向上につなげましょう。
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