
ECの店長に必要なスキルとは?売上拡大、バックヤード、マネジメントなどのEC店舗運営の重要なスキル、採用と育成のコツを解説します。
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はじめに
ECの規模が大きくなったり、複数店舗を運営するようになってくると、ECを適切に管理できる人材=”EC店長”が必要になってきます。ただ、漠然とこういった人材が必要だと感じていても、適切な人材を採用することはできません。なのでこの記事では、”EC店長”に相応しい人物とはどのような人物なのか、EC店長を採用、育成するにはどうしたらいいのかといったことを、ECコンサルタントの立場から解説していきたいと思います。
EC運営を管理するために必要なスキルとは?
ではまず、EC運営、中でも店長として運営するにはどのようなスキルセットが求められるのかについて整理していきたいと思います。EC運営を管理する立場の人間には大きく、マネジメントスキルとEC運営スキル、そして収益をあげる能力(売上を上げてコストを下げる)がそれぞれ必要です。それぞれ内容が異なりますので、一つ一つ解説していきます。
マネジメントスキル
論理的な思考能力
組織やチームを管理するには、論理的な思考力は必要不可欠です。売上を上げるためには、何が問題となっていて、どんな結果が生じているのかを論理的に分析する力が必要です。また、それらの検討内容を、チームメイトに共有する際にも、論理的に思考・伝達ができることで、賛同を得やすく、適切な方向に組織を進めていくことが可能になります。
計数管理能力
数字で把握する力も必要不可欠だと言えるでしょう。利益を上げるのが最終目標ですから、売上はどのくらいで、コスト構造はどうなっていて、それぞれいくらかかっているのか。そういったことを数字として把握できなければ、ECや収益を上げる組織の運営はできません。
仮説思考能力
こちらはあまり聞き馴染みのない表現かもしれませんが、簡単に言えば原因と解決策についての想像する力がこの能力にあたります。EC運営をはじめとする、マーケティング領域では、どうして商品が売れるのかを方程式のように導き出すことはできません。なので、こうなっているから売れているのではないか。ここが問題で売れていないから、こうしたら売れるようになるのではないか。と想像力を働かせて”仮説”を設定し、検証するプロセスが非常に重要になってきます。
コミュニケーション力
ECを管理していくためには、コミュニケーションスキルは必須です。ある程度の売上が立つECは一人で運営することはできません。組織にメンバーがいたり、外部に委託することもあるでしょう。そういった時に、適切なコミュニケーションを図り、円滑に仕事を進められる人物である必要があります。
EC運営に必要なスキル
フロント
お客様に見える・お客様が触れる部分のことを”フロント”といいますが、フロント部分について知識がなければ売上を上げることはできません。そういった意味で、以下の3つのスキル・知識が必要かと思います。
マーケティング
マーケティングに関する知識は必要不可欠でしょう。マーケティングと一口に言っても、店舗の商品構成から、値付け、広告宣伝など幅広い領域がありますが、全ての要素を熟知している必要はなく、経営者の得意分野などと相談しつつ、足りない部分を補えるような知見を持った人物であれば十分でしょう。
サイト制作・維持管理/コンテンツマネジメント
サイト制作や、サイト内のコンテンツを適切に管理できる人物であることが望ましいです。サイト制作は、自らコーディングまでできる必要は全くないですが、どういったサイトを作ればモノが売れるのか、人を呼び込めるECにはどんな要素が必要なのかをわかっている人材が必要だと言えるでしょう。
マーチャンダイジング
やや聞き慣れない言葉かもしれませんが、マーチャンダイジングの力、つまり、商品の販売方法や価格を戦略的に設定する能力はECを管理する上では必要です。特にモールでの出店などは、セールなどが売上向上の鍵になってきたりもするので、この辺りに知見を持った人であれば、EC運営を成功に導けるのではないかと思います。
バックエンド
ECを運営・管理する上では、お客様の目に触れない部分、つまりバックエンドの知見も必要です。以下に具体的にどのような素養・知識が求められるのか、紹介していきます。バックエンドの構築について詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
受注管理
ECを運営する上で、受注管理が満足にできないなんてことは許されません。受注管理については、知見があるだけに止まらず、大量の受注をミスなく捌けるかが、良い人材かどうかの分水嶺となるでしょう。システムで受注管理を行っている場合は、システムについての知見がある方が望ましいかと思います。受注管理について詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
在庫管理
在庫管理も受注管理同様、EC運営の基本的な業務であり、非常に重要です。在庫数を常に把握できるような仕組みを作るだけでなく、売れ行きを予測しながら在庫量を調整できる経験や、頭脳が必要です。
出荷管理
商品がお客様の手元にしっかり届くように管理することも、EC管理者に求められるものの一つです。自社で商品の配送まで行っているという場合は、梱包から配送までのフローを可視化し、管理できる仕組みを構築・維持できる人物が求められます。
倉庫管理
倉庫を抱える場合には、倉庫を管理する業務もEC管理者の仕事です。在庫管理とやや重複する部分もありますが、倉庫内にどれだけの人員がいるのかや、倉庫設備の管理などもこの仕事に該当します。倉庫管理については、他店舗と共同の倉庫ということもあるでしょうから、他でできる人がいるのであれば必須とまでは言えないと思います。
カスタマーサービス
ECの評判を向上したり、お客様の満足度を高めるためにカスタマーサービスは非常に重要です。ECの管理者が直接対応することはないかと思いますが、各従業員の対応を確認する能力や、トラブルを起こさないための機転の良さも必要です。また、お客様の声に耳を傾けて、ECの質的向上に繋げられる人物だと理想的と言えます。
会計管理
ECも販売店舗ですから、それに伴う会計管理もEC管理者の仕事です。売上やコスト管理だけでなく、予実管理なども行える必要があるでしょう。また、単に会計業務を行うないし、理解するだけでなく、財務状態から店舗運営の状態を的確に掴んで、それに対応する施策を打てる人物が必要です。
売上を伸ばすために必要なスキル
EC店長はECを満足に運営するだけに止まらず、EC運営を通じて利益をもたらさなければなりません。そういった観点から、売上を伸ばすためのスキルと、コスト削減のためのスキルの両方を備えている必要があります。具体的な施策について知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
データ(競合・トレンド・顧客)分析
ECで売上を伸ばすためにはデータ分析ができるかどうかが非常に重要です。オンライン事業では、データ活用が非常に重要な競争原資です。そしてこのデータは、取得に大規模なコストがかかるものでもないので、必要なデータを適切に取得し、そこから示唆を読み取る能力が、ECの利益を向上させることに直結します。
企画・施策立案能力
ここは、前述のマネジメントスキルであげた内容とも重なってくる部分もありますが、分析に基づいて、利益を上げるためのアクションを適切に考えられる人物が求められます。この企画・施策立案については、EC運営のノウハウが非常に重要な部分ですので、EC店長には一定のEC運営やそれに準ずる経験を持った人を据えるのが良いかと思います。
コストを削減するために必要なスキル
業務改善・効率化
コストを削減するためには、EC運営のあらゆる業務を把握し、改善・効率化を行うことが求められます。あらゆる業務について、流れを把握するなどに止まらず、それぞれの業務の出来と関係性の強い数字を見つけて、KPIを設定し改善を行える人物が求められます。
システム導入
ECを運営する上では、システムの利用は不可欠です。上記のデータ分析や、業務効率化とも関わってきますが、目的に応じて必要なツールを選定する知見と、選定したツールをしっかり実装できるITスキルの両方が必要です。
採用のコツ
ECを運営する、EC店長に必要なスキルセットについては把握できたでしょうか。では実際に、これらのスキルセットを持った人材を採用するためにどうしたら良いのか、というところも解説していきます。
求める人材像を言語化しよう
まずは、優秀な人材に、自分が求められていることを認識してもらうために、求める人物像を言語化しましょう。言語化するにあたっては、以下の要素は踏まえて行うと、まとまった内容になるかと思います。
- 勤務・経済条件
- スキル
- 経験
- 人柄・志向性
優先順位をつけよう
求める人材の言語化が終わったら、どの要素を重視するのか優先順位をつけましょう。この優先順位の付け方は様々だと思いますが、スキルや経験など客観的に測れるもので優先順位をしっかりとつけておくと、採用もスムーズに行くでしょう。また優先順位の付け方としては、社内に代替可能な人物はいるか、アウトソースできるものか、利益向上にどれだけ影響を与えるか、といった観点から検討するのが良いでしょう。
育成のコツ
EC店長に即戦力として活躍が期待できる人材はなかなかおりませんので、将来性のある方を採用して育成したり、自社内でEC店長を育成することもあるかと思います。そのような場合には、以下のことを意識して行うのが良いでしょう。
あるべき人材像に対して何が不足しているか整理しよう
あるべき人物像を明確にして、不足している部分はなんなのかをしっかりと把握しましょう。そのためには、被育成者がどんなスキル・実力を持っているのか適切に把握する必要があります。客観的に測れるものが少ないと不安に思う方もいるかもしれませんが、客観的に測れるものこそ、身につけやすい領域ですので、まずは定量的に把握できるものの中で不足しているものは何なのかを明確にしましょう。
不足を埋めるために何をすべきか考えよう
実際に不足している部分が整理できたら、それを補うための施策を考えましょう。それらの施策の一例を挙げてみると以下のようなものがあるでしょう。
- OJT
- eラーニング
- 資格・検定
- 社内勉強会
OJTがコストもかからず楽なので、選択しがちではありますが、これまでの仕事でどうしてそのスキルが身に付かなかったのか、身につけるためにどんな工夫をしたら良いかなどを考えて、OJTを設計するようにしてください。
評価の仕組みを整えてモチベーションを上げよう
足りないところ、やるべきことが明確になれば、あとはやる気にするだけです。どんな人でも評価をされればやる気は出るものですので、被育成者の成長を評価できる仕組みを整えましょう。この際もなるべく定量的な評価精度、評価軸を設計してあげると、目標のイメージがつきやすくモチベーションを高めることにつながるかと思います。
アウトソースのススメ
ここまでEC店長の採用・育成について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。EC店長に求められるスキルレベルは非常に高く、人材を探すのに苦労したり、見つかったとしても、それに見合う報酬を用意するのはなかなか骨が折れます。また育成に当たっても、実地での経験が必要な部分もあり、社内だけでの育成は、限られた企業以外には難しいのが現状です。なので、場合によってはアウトソースをされることも検討してみてはいかがでしょうか。アウトソースを行えば人材を探したり、育成したりする手間を省くことができます。さらに、アウトソースされた側は他の企業も担当しているので、EC店長を社内に採用するよりもコストが安い場合もありえます。最初は無料で相談できるところも多いですので、一度相談されてみるのがよろしいかと思います。
